ストレスホルモンとも呼ばれる「コルチゾール」。心身がストレスを受けると急激に分泌が増えることからそのように呼ばれています。
たとえば人前でプレゼン発表をしたり、舞台の上に立つときなど、ほとんどの人が緊張すると思うのですが、このようなときコルチゾールは多く分泌され、平時の2~3倍にもなっているのです。コルチゾールの上昇が瞬間的なものであれば問題ありません。しかしこれが慢性的になってくると回復が促されず、脳の海馬を委縮させてしまうことがわかっています。
こうしたコルチゾールの分泌は個人差があることもわかっています。ある調査では、無作為に選んだ集団を、人前で話すというストレス状況下に置くと、親が緊張症である人はスピーチを終えて24時間経ってもコルチゾールの値が上昇したままだった、というデータもあります。
現代社会では誰しも少なからずストレスを抱えていますが、そのストレス耐性についても個人差があることを考えねばなりません。ストレス耐性の閾値は人によって異なり、環境要因、遺伝的要因、行動的要因、またはその複合的要因によって変わってくるのです。ある人にとって大丈夫なことが、ある人にとっては大丈夫でない、ということは多々あるのです。
自分の心の健康を過信しないこともまた、現代社会を生きる上で欠かせないように思います。